有酸素運動と筋トレはダイエットをするには果たしてどちらがいいの?
2017/09/23
筋トレ&有酸素運動徹底比較!
ダイエットするための手段として筋トレと有酸素運動がありますが、昨今のフィットネス業界では筋トレをメインにしてダイエットしようとする流れが主流になっています。このサイトでも筋トレをメインテーマに取り扱っているので、基本的には筋トレ推しです。しかし有酸素運動を否定するというわけではありません。有酸素運動の利点や効果を筋トレと比べながら確認してみたいと思います。
まず筋トレは基本的に酸素を取り込みながら行う運動ではありません。多少の呼吸は行ないますがそこまでの酸素を必要としません。こういった筋トレやウェイトトレーニングなどを無酸素運動といいます。対してランニングやウォーキング、水泳など一定の呼吸で酸素を吸い続ける運動を総称して有酸素運動といいます。
筋トレは酸素を供給しづらい無酸素運動であり、短時間で大きな力を発揮する運動です。それに対し有酸素運動は小さな力で長時間の運動を続けるものです。そして筋トレで使われる筋肉は瞬発的な力を発揮する速筋、有酸素運動は持久力を備えた遅筋がメインで使われます。
ここからが大事なのですが、筋トレは瞬発的な運動に糖質をエネルギー源として使います。それに対して有酸素運動は糖質と脂質を半々くらいエネルギー源に使う運動です。この有酸素運動にある、脂質をエネルギーに使うというポイントが多くのダイエット実践者を走らせるわけです。
有酸素運動のメカニズムを理解しよう
有酸素運動がエネルギーとして糖質と脂質を半々使うと言いましたが、正確には糖質がエネルギーとして先に使われ、かなり糖質が使われた後に脂質を今度はエネルギーとして使い始めるのです。この糖質が使い切れるまで約15~20分かかります。なので有酸素運動で肝心の脂肪を燃焼し始めるまでに、20分以上は運動を続けて行なわなければならないのです。
有酸素運動を行ない最初は糖質を使い運動を行なっていても、だんだんと糖質が減ってくれば低血糖を招いていくので、脳が体を守るためにと糖質の代わりに貯蔵されている脂肪(脂質)を使い始めます。脂肪がエネルギーとして使われるときには血液内に皮下脂肪を遊離脂肪酸として放出し、それが酸素と結合して燃焼されていくというのが有酸素運動のカラクリです。
有酸素運動でその他に期待できる4つの効果
では脂肪燃焼以外の有酸素運動の効果を見ていきましょう。有酸素運動には脂肪燃焼以外の多くの効果があります。
・心肺機能の向上
・健康面での増進作用
・メンタルヘルスの効果
・疲労回復機能の向上
などが挙げられます。
1つ目の心肺機能の向上は誰でもイメージが湧くと思います。マラソンや水泳の長時間運動を続けるときでも疲れづらくスタミナを維持できます。スポーツの時だけでなく、例えば海外旅行した時に観光スポットを見てまわるときなど体力があるか無いかは非常に重要です。旅行は意外に体力が必要です。体力があれば疲れづらくアクティブにまわる余裕ができるので、それだけ旅行を楽しむことができます。
2つ目は動脈硬化の改善です。動脈硬化にはさまざまな要因がありますが、その中の一つに血管内の脂肪(コレステロール)が血管の内側に付着して血管壁を固くするというものです。しかし有酸素運動をすることでコレステロールがエネルギーとして使われます。実際に1回の運動時間が30分で6か月間、有酸素運動を続けたグループは動脈硬化の改善が見られた研究結果があります。
※参照元:英文原著論文紹介16 https://arterial-stiffness.com/pdf/no14/094-095.pdf
また血圧が高い人は動脈硬化や血液の塩分濃度の高さ、血液の粘りによる血管のつまりなどが原因です。生活習慣病に大きくかかわる要素なのですが、これらも有酸素運動で改善していけるのです。なのでダイエット実施者よりも健康診断で指摘を受けた方は、簡単なウォーキングでもいいのでツラくないレベルですぐに始めることをお勧めします。目安は隣の人とおしゃべりしながら歩けるくらいでいいでしょう。
3つ目は心の状態も整えてくれます。臨床心理学者、アダム・ヒーナンが大学の生徒を対象にした研究で、有酸素運動をすることですっきりとした心になり、抑うつ作用を見込めると発表しています。確かに走り終わった後の爽快感は何とも言えない気持ちよさで、ストレスの発散になりポジティブな気分にさせてくれるのが分かります。
ラスト4つ目は疲労回復機能の向上です。これはただ翌日の疲れが取れやすいという単純な話でもありません。有酸素運動の中でもカーディオトレーニングといわれるもので、ある程度の負荷で心肺機能を鍛えてやると血液内の酸素運搬量が活発化します。
すると激しい運動の合間でリカバリーが早くなります。しかもこれは筋トレにも当てはまり、高重量のトレーニングのセット間でも回復が早くなることで筋肉に充分な刺激が与えられ、筋肉の発達がしやすくなるのです。もちろん翌日の疲労もケアしやすくなるのは言うまでもありませんね。
以外にも知られていない、有酸素運動の持つデメリット
今度は有酸素運動で注意しなければいけないポイントをご紹介します。たくさんは無いのですがただ1点だけ、有酸素運動で脂肪が燃えるのならばとにかく走り続ければ脂肪はどんどん燃えると思い長時間走り続ける人がいますが、これはNG。
有酸素運動は長く続けると低血糖を招いてしまい、そうなると脳が「いま体が低血糖だから筋肉を分解して糖質を作り出してちょうだい」と指令を出します。すると筋肉の分解が始まり筋肉の量を減らしてしまうのです。見た目では体重が減っていても筋肉が落ちれば代謝も落ちるので、食事を以前と同じ量摂るとすぐにリバウンドしてしまうのです。
もし走ることが楽しくなって、体力も付き2時間以上走らないと満足しないという方がいれば、アミノ酸を多く含んだスポーツドリンクを飲みながら走ってください。そうすることにより、筋肉分解を抑えながら走ることが可能になるのです。
体重のある人の方がすぐに痩せる理由
いざ運動を始めるとちょっとポッチャリの人より、大きく太っている人の方が体重が減る傾向にあります。60キロの人よりも100キロの人の方が体重減が早いのはそのままの答えになってしまいますが、体重が多いからなのです。どういう事かというと体重が多い方が体にかかる負荷が大きいからです。常に10キロのダンベルを持ち歩きながら移動しているようなものです。
そういった理由から同じレベルの運動でも体重の重たい人の方が、消費エネルギーが多くなり体重が落ちやすいのです。ここで簡単な有酸素運動での消費カロリー計算方法をのせます。
消費カロリー(kcal)=METS×体重(kg)×運動時間(h)×1.05
という計算式に数値をあてはめます。METS(メッツ)とは運動の強度を数字で表したものです。ここでの場合は歩くスピードです。
時速3km/h(ゆっくり歩くレベル):2.8
時速6km/h(速歩きレベル):4.5
時速8km/h(競歩レベル):8.3
この下線の数字を計算式のMETSの値に入れてください。つまり計算式を見ると分かるのですが、体重という項目があることからも重い人ほどカロリー消費しやすいということです。体重はすぐにコントロールできないので、こちらで意識的にコントロールできる部分といえば速く歩くか、歩く時間を延ばすかのどちらかで消費カロリーを調整していきましょう。
筋トレと有酸素運動を組み合わせれば効果倍増
脂肪燃焼は15~20分で始まると書きましたが、実はこれを短縮することができます。それには有酸素運動前に筋トレをするのです。筋トレは1部分で構いません、胸、背中、脚から選んでください。大きな筋肉の方が基礎代謝が上がりやすくて良いでしょう。その方がより効果が出やすいのです。
先に筋トレすることにより糖質をエネルギー源として使ってもらい、その後有酸素運動を始めたときにすぐに脂肪をエネルギーとして使っていけるのです。有酸素運動自体は短い時間になるけど、脂肪の燃えやすい時間は同等になるという方法です。ジムで運動をするときなどは運動の順番も考えてやりましょう。
有酸素運動は週にどれだけやればいいの?
では実際の有酸素運動の頻度はどれくらいがベストなのか見ていきましょう。個人の体力レベルや生活環境で個人差がありますが、筋トレと絡めるなら筋トレの回数分でいいでしょう。週に3回筋トレするなら、同じように有酸素運動も3回。トレーニング後に走るなり、泳ぐなりをしてください。
また有酸素運動のみで筋トレをしたくない方は、週5~6回は汗を流した方がいいです。ちなみに有酸素運動だけで脂肪を1kg燃やすのに7200kcal消費しなければいけません。1ヶ月(30日)で体重ではなく脂肪を1kg落とすには日割り計算で、1日240kcalのマイナスが必要です。これは簡単そうに思えるかもしれませんが、体重ではなく脂肪でというのがポイントです。
単純に240kcalといっても入ってくるエネルギーも考えなければいけません。当然ながら食べ過ぎて消費カロリーが摂取カロリーを上回ってしまうとやせることはないでしょう。なので食べ物のことを無視して240kcalということなので、実質これ以上のエネルギーを消費しなければいけない事になるのです。ですので出来るだけ1週間の中で多く行うことが必要なのです。つまり有酸素運動だけでのダイエットは時間がかかる作業と言えるのです。
その他に体重というものは脂肪の他に筋肉量や水分量でも変わってきます。なので体重計で1ヶ月後に1kg落ちていても、それが脂肪なのか筋肉なのかが重要なのです。筋肉が減って痩せた体はすごく貧相になってしまうので、そうならないように体重計の数値のみでなく日々鏡での見た目も意識していきましょう。うまく筋肉を増やし脂肪を減らすことが出来れば、引き締まった体になっているのです。
【有酸素運動に期待できるダイエット効果のポイント】まとめ
□有酸素運動は脂肪を直接燃やす運動である。ただしはじめの15~20分は糖質がエネルギーに使われるため、20分間は有酸素運動することが効果的。
□有酸素運動には脂肪燃焼以外にも心肺機能の向上、健康面での増進作用、メンタルヘルスの効果、疲労回復機能の向上といった効果にも期待できる。
□長時間の継続した運動は筋肉を落としやすいので、サプリメントなどで筋肉を守りながら行う。また無理な運動は控え、自分のレベルに合った運動を。
□ウォーキングで消費カロリーが増えるポイントは、体重・運動強度(速さなど)・運動時間の3つ。自分でコントロールするには、運動強度を上げるか運動時間を増やすこと。
□有酸素運動は脂肪体重を1kg減らすのに7200kcal燃やさなければいけないので、それ単体で行うとなると週5~6回が理想。筋トレと組み合わせる方が効率的。
はっきり言うとダイエットだけで見るなら断然筋トレの方がいいと思います。有酸素運動だけでダイエットするにはとても時間と根気がかかるのと、運動をやめてしまうと食事内容に細心の注意を払わないとすぐにリバウンドしてしまう危険性が大きいからです。
私は筋トレを一時中断していた時期が1年くらいあり、その時に夜中のスナック菓子やチョコレートの大入り袋をひとつ空けたりしていましたが、まったく体型の乱れはありませんでした。これも筋トレで筋肉を増やしておいたおかげと言えます。なので有酸素運動はダイエットの補助的な位置づけくらいに思ってた方がいいと思いますが、健康増進を目的としている方や健康診断の数値を改善していきたい方にとっては、有酸素運動は非常にいい運動だと言えますね。