アルギニンの意外に知られていない効果と、その副作用を解決する飲み方
2017/10/27
タンパク質を構成する20種類のアミノ酸があります。たくさんの種類がある中で、筋トレでマッチョな体にボディメイクするためにはアミノ酸を積極的に摂取しなければいけません。しかし、ただひたすら栄養素を摂取するよりもどの栄養素がどういった役割をしているのかといった事を理解しながら摂取する方が、より効果的に栄養補給ができるのではないでしょうか?
そんなアミノ酸の中でこのページではアルギニンに焦点を当てていきたいと思います。体作りに大いに役立つアミノ酸、アルギニンにどういったメリットや効果があるのか。またアルギニンを摂取するときに気を付けたいことなどを取り上げ、少しでもアルギニンに関する疑問を解消していきたいと思います。
アルギニンが体にもたらす主な効果
1、筋肉の成長効果・・・いくつかの効果があるのですが、まずアルギニンを摂ると筋肉が成長しやすくなります。それは成長ホルモンの合成を促進してくれるからです。筋トレをした後にはたくさんの栄養、特にタンパク質や糖質を必要とします。その際成長ホルモンが筋肉の合成を助けてくれますので、結果的に筋肉を成長させてくれるのです。
アルギニンには筋肉が傷ついたときに、その部分を成長させてくれ大きくする手助けをしてくれます。筋肥大するために筋トレしている方にはとても役立つ栄養素なのです。ですが激しい運動をするとアルギニンは体内から多く消費されるために、意識的に補給する必要があるのです。通常ですと成人男性ならアルギニンを体内で必要量を生成してくれるので問題ありません。あくまで激しい運動をした時の話です。
ただし後ほど説明しますが、アルギニンはそれ単体で摂るよりもある別のものと一緒に摂取する方がより効果を発揮してくれます。また筋肉を成長させるだけでなく骨を強くしてくれる作用もあります。なので高齢者で骨密度が低下してきたかたや、骨粗鬆症(こつそそうしょう)の方に治療薬の成分として使われていたりもするのです。
2、疲労回復効果・・・筋力トレーニングをした翌日には筋肉痛などがあるので、いつもの日常よりは筋肉が痛むだけでなく疲労感を感じやすいです。しかし長く筋トレを続けているほど、筋肉痛は感じづらくなっていきます。それは筋トレの刺激に筋肉が慣れるためなのですが、しかしそうは言っても筋肉は実際には傷ついているのです。
アルギニンは大豆やニンニクに多く含まれているのですが、これらは滋養強壮の効果がありますよね。滋養強壮とは簡単に言ってしまえば疲れを和らげて、仕事などを頑張ることができるというものです。なので栄養ドリンクの中にもアルギニンは含まれていることが多いのです。こういった事からも、疲労回復効果があるという事が分かりますね。
3、身長を伸ばす効果がある・・・これは成長期の子供に限る話なのですが、子供はアルギニンを1日の必要量作り出すことができません。アルギニンは成長ホルモンの合成を助けてくれるという事から特に運動を頑張っている子供は成長ホルモンの合成が不足してしまいます。しかしアルギニンを補給して体内に成長ホルモンが満たされていればそれだけ骨や筋肉が作られて身長も伸びやすくなるのです。
4、精力回復の効果もある・・・最後に余談で成人男性で年齢を重ねて精力が減退した方は回復するとも言われています。勃起不全には男性性器の血管縮小や心的ストレス、加齢や喫煙などがあるのですがアルギニンには血管の拡張効果もあります。ですから血管を広げて勃起がしやすくなるのです。
これは筋肥大にはあまり関係のない話かもしれませんが、血管が広がり体内に取り込める酸素の量が増えるので有酸素運動の機能向上にもなると言われています。ちなみに通常の精力がある方であればアルギニンを摂取しても元気になり過ぎるという事はありませんのでご心配なく。
アルギニンとオルニチンの併用効果とは
筋肉にとって筋力向上のしやすいアルギニンですが、実はアルギニン単体で摂取するよりも他のアミノ酸と組み合わせることで、より大きな効果を得やすいという研究結果があります。アルギニンと併用するのに効果的なアミノ酸がオルニチンというものです。
オルニチンとは血中を流れる遊離アミノ酸の一種で、タンパク質を構成するアミノ酸ではありません。オルニチンはアンモニアの除去機能を高めるという役割を果たすアミノ酸で、ヨーロッパでは肝臓疾患の治療薬として使われています。このオルニチンとアルギニンを組み合わせて摂ることによって以下の効果が期待できます。
これらはボディビルダーを対象にした実験で、まず第一に脂肪を除いた筋肉量や骨量などの除脂肪体重が増加する結果が出ています。第二にウエイトトレーニングで取り扱う最大重量が更新される、つまり筋力の向上が見込めました。第三には体脂肪率の減少までが報告されているのです。これらの結果は全て、アルギニン単体で摂取した数値よりも増加の結果が出たと言えるのです。
アルギニンとシトルリンの併用効果とは
次に紹介するアルギニンとの相性がいい成分はシトルリンです。シトルリンもアミノ酸の一種で疲労回復効果があると言われており、フランスでは医薬品として使われています。ちなみにこのシトルリンはスイカの中から発見されたアミノ酸なんです。アミノ酸ってタンパク質にのみ含まれる栄養素ではないんですね。
なぜ疲労回復の効果があるのかというと、それは血管の拡張作用という機能があるからです。血管が広がるとその分血の巡りが良くなりますよね?血流が良くなることによって、体内の老廃物や疲労物質が早く排出されるようになります。そういった事から疲労回復の効果があるという事なのです。
さらに酸素消費量の向上という機能までシトルリンにはあります。先ほども説明しましたが血管が拡張し、血流が良くなればそれだけ体内の各器官への酸素運搬量も増加します。酸素が体に巡ればより持久力のアップにつながるので、シトルリンを摂取すれば持久力が必要な競技で重宝するのです。
しかしここで注意ポイントが。シトルリンだけを多く摂っても血管拡張という効果は現れづらいのです。そこでシトルリンとアルギニンを同時に摂取することによって、血管内にNO(一酸化窒素)が作られ血管を拡げてくれるという事を行なってくれるのです。ですからシトルリンとアルギニンを同時に摂り、疲労軽減と持久力向上という効果がより一層と高まるというのです。
3種類+αでまとめて摂取すると1番良い!?
今まで紹介したアルギニンとの組み合わせで相性のいいオルニチンとシトルリン。優先的にはどっちを摂取するのがいいの?と思った方もいるかもしれませんが、正解は3つまとめて摂取するやり方が効果的です。この3つのアミノ酸をまとめてOCAAと呼び、OCAAの相乗効果をオルニチンサイクル(尿素回路)と言います。
OCAAを摂取すると筋肉の合成を促進して筋肉が成長しやすい状況を作り出してくれるのと、疲労回復の効果を作ってくれると言いました。このとき体内ではアンモニアの排出が積極的に起きているので、有害物質や疲労物質を活発に排出することで疲労回復が起きるシステムなのです。
この3種類のOCAAを普段飲んでいるプロテインと組わせることで、さらにプロテインの効果が上がるというマウスの実験もあるくらいです。なので実際はOCAA+プロテインという4種類のものを摂取すれば筋肥大にとっては良い影響を与えてくれると言えるのです。
アルギニンで胃が痛む方は摂取の仕方を変えてみよう
アルギニンの素晴らしさが理解できても、飲み方にひと手間かけた方が良い場合があります。なぜならアルギニンには体に負担をかけてしまう副作用の様なものがあるからです。人によっては胃に痛みを感じる場合があります。アルギニンは強いアルカリ性であるため、体質によっては胃の壁を刺激して痛みが出ることがあるのです。
解決策としてはクエン酸を一緒に摂るといいでしょう。クエン酸は酸性のため胃の中を中性に保てるようになり、胃の壁を刺激しなくするのです。なのでサプリメントでアルギニンを摂るときは、クエン酸も配合されているかをチェックするといいでしょう。
また1回で飲む量にも気を付けましょう。アルギニンは、その人の体重×50mgが適量と言われます。例えば体重60kgの人は3000mgなので3gのアルギニンでいいという事になります。しかしこの量はいっぺんに摂るのではなく2、3回に分けて飲みましょう。プロテインなんかも1日の摂取量を1回で摂るよりは、数回に分けて摂るのがいいのと同じことです。
アルギニンもプロテインのように1回で大量に摂取すると、胃が荒れたりお腹を壊したりしてしまう場合があるので摂り方は計画的に行なっていきましょう。ただしこれらは個人差があるので多く摂っても全く平気な方もいれば、少量でも胃が荒れてしまう方もいます。解決しない場合は内科のお医者さんに相談するといいでしょう。
もし胃腸のトラブルが解決しない場合、アルギニンではないサプリメントを選ぶようにしても良いです。そもそも筋トレに絶対に摂らなくてはいけないサプリメントというものはなく、プロテインでさえ無くても筋肉を付けることは可能なのです。なので楽しく筋トレを続けられなければ無理にアルギニンにこだわる必要はないのです。
【アルギニンを摂取する際のポイント】まとめ
□アルギニンには筋肉の合成を高めたり、疲労を回復する効果がある。
□成長期であれば成長ホルモンの合成を助け、身長を伸ばす効果もある。
□成人男性の精力回復効果もあり
□オルニチンはアンモニアの除去機能を高めるという役割を果たすアミノ酸。
□アルギニンとオルニチンを組み合わせることで、筋肉量や最大筋力の向上と、体脂肪率の低減という実験結果が得られた。
□シトルリンには血管拡張作用があり、血管機能の改善が見込める。
□アルギニンとシトルリンを組み合わせることで、疲労回復効果や持久力を上げ運動パフォーマンスを向上できる。
□アルギニン・オルニチン・シトルリンの3種類のアミノ酸をOCAAと総称し、このOCAA3種とプロテインを同時に摂ることでプロテインの効果を上げることも可能。
□アルギニンは副作用で胃が痛むことがある。クエン酸で中和したり、一回の摂取量をコントロールしよう。
今回はたくさんのアミノ酸の名前を紹介したので、なんだか頭が混がらがってしまいそうですね。アルギニンだけでなく、オルニチンやシトルリンをサプリメントから同時に摂取することで筋肉が発達するだけではなく、血管の改善による健康効果も得ることができます。また運動能力の要素も発達しやすいので、筋トレに励むトレーニー以外に何かスポーツに取り組んでいる方にも使えます。なかなか万能なアイテムと言えますね。