【ガリガリ体型から筋肉体型になるための負荷設定】みんなが意外に知らない筋肉を作るための負荷とは?
2017/09/23
ジムで働いていると、筋肥大を狙った筋トレではどのくらいの負荷設定ですればいいのかといった話をよく質問されます。中には何も考えずにある程度きつくなるまでトレーニングをするといった方も存在しますが、筋肥大するにはいったいどのくらい負荷をかければ筋肉が成長してくれるのでしょうか?ここでは筋肉に与えるべき負荷の設定方法などを説明していきます。
筋肥大は量よりも質を重視する
筋肉を大きくして自分好みの格好いい体型を手に入れることをボディメイクやワークアウトと言いますが、このボディメイクには筋肥大(筋肉を大きくすること)が必要になります。どうすれば筋肥大するのかというと、もうこれ以上持ち上げることができないという限界まで重量を上げる必要があります。それこそプルプル震えて息切れしてしまうくらいの状態を目指すのです。これをオールアウトと言います。
筋肥大を狙うのであれば少ない回数でオールアウトを出来るように負荷を設定します。どんな重さでも回数をこなせばいずれは限界はやってくるものですが、たとえ軽い重さで100回やったとしても限界に近い重さ数回だけでも限界は訪れますが、筋肥大狙いの場合は上げる量よりも質を重視することが大切です。ボディメイクに適した具体的な拳上回数はこの後に説明します。
赤みの肉と白身の肉
その前に筋肉の種類を説明します。筋肉と一言で言っても実は種類ごとに特徴があります。豚や牛に赤身や白身の肉があるように人間の筋肉にも赤身と白身があるのです。
それが遅筋と速筋と言われるものです。遅筋とは赤身の肉と同じ特徴で、一定のペースで長い時間力を発揮することができますが、大きなパワーを発揮することはできない筋肉のことです。スポーツで言えばマラソンの選手が遅筋が発達しています。筋肉自体は体の内側の方に位置していて小さめなサイズの筋肉です。よって見た目は変わらないですが、遅筋を鍛えれば体力が付き疲れづらい体になっていくのです。
速筋とは瞬発的な力を発揮できる筋肉のことです。白身の肉と同じ特徴でスピードのある爆発的な力が出せますが、その分短い時間しか力を発揮できません。スポーツでは短距離走やラグビーの選手などがこの筋肉をたくさん持っています。速筋は体の表面にありサイズも大きめなので速筋を鍛えることにより体が大きくなっていきます。筋肥大させるには速筋を狙って鍛えていきましょう。
速筋繊維と遅筋繊維の割合がどちらが多いかが、その筋肉が速筋か遅筋どちらのタイプになるのか分かれるところなのです。
速筋を鍛えるにはどういった負荷を与えればいいのか?
速筋は瞬発的なパワーを発揮する筋肉と言いました、という事は瞬発的な筋力を発揮するトレーニングをしてやれば速筋が発達してボディメイクができるのです。速筋は持久力を発揮する筋肉ではないので、軽い負荷で長々と時間をかけてのトレーニングは効果的ではありません。短期集中で大きな負荷を筋肉に与えてやるのです。
筋肥大が目的であれば重めの負荷で、10~6回くらいで限界を迎えるくらいが適切な負荷設定と言えます。筋トレにおける負荷設定の方法は、その人が何回で限界を迎えるのかといったところを見ます。ちなみに筋肥大以外の回数設定では、持久力アップでは軽めの負荷で15~20回、基礎体力アップでは12~15回で限界が来るのが適正な負荷です。この限界に達することを“オールアウト”といいます。
オールアウトを目指すため1回のトレーニングは3セット行いましょう。3セットやるとは例えば10回上げてもう上がらない状態になったら、いったんストップして1分~1分半休みます。すると同じ重さでもまた回数が上がるのです。このインターバルを挟んでトレーニングするサイクルを3セット繰り返すのです。すると3セットまでやれば数回しか上がらなくなりオールアウトするのです。
これが最初から1回や2回で上がらなくなっては重すぎるし、15回以上できても今度は軽すぎます。10回やって動作ができなくなる重さが最適な負荷なのです。ちなみにこれを3セット行うと筋肥大が促される刺激になると言いましたが、セットを重ねるにつれ当然ながら上がる回数は減っていきます。10回が8回、8回が6回と減っていくのは当然のことなので、回数は気にせずにしっかり追い込み切ることを意識しましょう。
RM法~筋肥大させるための重量の求め方~
筋肉を大きくさせる回数は分かった、しかし自分が一体何キロの重さでトレーニングすればいいのか分からないという方のために、筋肥大に最適な重さを求める計算方法を教えたいと思います。これをRM法と言ってとても簡単な計算式で、かけ算ができれば誰でも求められます。
まずはじめにアームカールがしたかったとします。場所はジムで、使う道具はダンベルで行ないましょう。そこでまず自分がアームカールで1回しか上がらないというダンベルの重量を見つけます。2回できたら1つ重くしてください。この1回しか上がらない重量を1RM(レペティション・マキシマム)といいます。
1RMが分かったらその重量の70~80%の数値が筋肥大に向いた10~6回(10~6RM)が上がる重量となります。例)ベンチプレスの1RMが60kgの場合。
60×(0.7~0.8)=42~48
という事で42~48kgがベンチプレスの設定重量となります。実際にベンチプレスで42~48kgという重量は作りづらいので、50kgという設定でもいいでしょう。これはあくまで目安なので、負荷を増やすなり減らすなりで調整をしてみてください。
インターバルを上手に取り入れよう
インターバルの間は乱れた呼吸を安定させたり、フォームチェックなどを行ないましょう。ただし休み過ぎは効果を落とします。インターバルは1分~2分くらいがいいでしょう。5分以上休むと完全にオールアウトから遠ざかってしまうのです。
また人は筋トレをすると成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンはある程度の高強度な筋トレと、短めなインターバルという条件下で分泌が盛んになりまので、筋肥大向けの負荷設定とインターバルは筋肉の成長に最適なのです。
負荷はターゲットにしっかり届けるべし
人は本来筋肉に限界近い負荷が加わると、その負荷を筋肉から逃がそうとする習性があります。負荷を逃がさないように、きちんと正しいとレーニンングフォームを実践して筋肉に負荷を届けるのです。例えば人が重たい物を持ち上げるときは脇をしめる方が楽に持ち上がります。しかしこれはトレーニングにはなっていません。
アームカールでは脇を締めた方が重りは上がるのですが、それでは二頭筋に負荷が与えられていないのです。ひじ関節は肩の下の位置で固定する、これがしっかりと二頭筋に負荷を与える方法なのです。
またあえて関節を動かしてフォームを崩すチーティングという技術があります。英語でチート(だます)という言葉が語源になっています。トレーニング動作の中で負荷がMAXになる「スティッキングポイント」という場所があるのですが、チーティングを使うことによりフォームをあえて崩すことでスティッキングポイントを超えてさらに負荷をかけることができるのです。
負荷の限界値をだますという事でチーティングと名付けられたのでしょうね。また筋肉は同じ負荷には慣れてしまう習性があり、そうなってしまうとどんなにキツくても効果が出なくなってしまいます。そんな時にチーティングを入れることで新しい負荷を筋肉に与えることができます。効果が頭打ちの方はぜひ取り入れてみてください。ただしチーティングも正しいやり方がありますので、怪我をしないようにやり方をマスターしてから行ないましょう。
筋トレで負荷を効果的にかけるワンポイントアドバイス
筋肉は収縮する(縮む)ときよりも、伸長する(伸びる)ときの方が負荷を感じづらいという習性もあります。脚の筋肉を例に挙げてみましょう。階段を上がるときに脚の筋肉は収縮し、下りるときに伸長しています。この時に脚は上がるときより下りるときの方が楽ですよね?これは筋肉の伸長動作の方が収縮動作よりも発揮筋力が大きいために起こることなのです。
ですから筋トレの最中、しっかりと筋肉に負荷をかけるためにも少し長めに時間をかけて伸長動作を行ないましょう。階段の運動を例に話せば、上がるときよりも下りる動作をゆっくり行うことで同じような負荷を与えることができるのです。時間で言えば2秒で筋肉を収縮させ3秒くらいで戻すイメージです。
これがスクワットなら起き上がるときに2秒、膝を曲げて下ろしていく際に3秒かける。ベンチプレスなら2秒でバーベルを押し上げ、3秒かけて胸に下ろしていく。ラットプルダウンならば2秒でバーを引き下ろして、3秒でスタートポジションに戻していくような感覚です。これはきっちりタイムを合わせる必要は無いので、戻す際に時間をちょっとかけてやるというイメージでOKです。
【筋肉体型になるための負荷設定】のまとめ
□筋トレで筋肉を大きくするには回数ではなく、どれだけ強い刺激をターゲットに与えられるか。
□筋肉には瞬発力の速筋と、持久力の遅筋がある。体型を変えるには速筋を鍛えるべし。
□速筋を大きくするにはある程度の高強度が必要。10~6回で限界を迎える負荷に設定する。
□強めの負荷と短めのインターバルは筋肉を発達させる成長ホルモンの分泌を促す。
□フォームが崩れるといかに高重量な負荷で行なっても筋肉に適切な負荷が届かない。
□筋トレの動作は筋肉の収縮よりも、伸長の動作が発揮筋力が強い。筋肉が伸びるときに3秒かけることでより効かせることができる。
□筋肥大に最適な負荷の算出方法は、1RM×(0.7~0.8)で導き出せる。1RMとは全力でやっと1回拳上できる重量のこと。
筋トレの負荷は始めたばかりの初心者にとっては、味わいたくない嫌なものと言えるかもしれません。ですが筋肉が大きくなりはじめてくると、いかにターゲットにしっかりと負荷を効かせていけるかが筋トレの永遠のテーマになってきます。その日のコンディションによって同じ重量でも筋肉への効き方が全く違ってきますので、扱う重さだけでなくしっかりとターゲットが負荷を得ているかという所まで意識してみてください。