【お酒が筋トレに与える影響】飲み方を少し調整するだけで筋トレもお酒も両方楽しむことができる
2017/09/23
何か物事を頑張った後に飲む一杯って最高ですよねー。額に汗する筋トレもそれは同じです。きついことを頑張りぬいて、その達成感とともにビールを喉の奥に流し込む、それがワークアウト後の楽しみになっている方も多いことでしょう。
しかしお酒というものは飲み過ぎるとやはり体に良くありません。健康被害になる可能性もあることながら、そこまで行かなくても筋肉にとって悪影響になる可能性が大きいのです。このページではお酒が筋肉に与える影響について見ていきたいと思います。
アルコールはどういう栄養素で出来ているのか
日本の体育会系はお酒をたくさん飲むという風習があるのではないでしょうか。事実私がいた運動部でも、先輩に注がれたお酒は絶対に飲まなければいけないという風習がありました。なのでお酒をたくさん飲めない人達にとっては厳しい風習だったなと思います。
スポーツ選手だけでなくサラリーマンの方でも、毎日試合やビジネスといった勝負の世界に身を置いており常にプレッシャーを感じていることと思います。お酒を飲むとそんなプレッシャーから少しでも解放され、気分が高揚し自分がなんだか大きくなった感じを味わえる。そういった理由からお酒を飲む機会が増えるのではないでしょうか。
そんなお酒に含まれるアルコール成分ですが、どういった物なのでしょうか?アルコールは気分が高揚すると言いましたが、お酒を飲むと脳が興奮作用になります。アルコールが体内に入ると脳に回っていき、中枢神経に働きかけることにより脳の活動の一部が麻痺してくるのです。そうすると小さな心配事を感じなくなったり、気が大きくなる感じがするのです。飲み過ぎた翌日に記憶が飛んでしまうのはこれが原因なのですね。
ちなみに脳の中枢神経の働きは感情を抑制する仕事もするために、活動が弱まると普段抑えられている感情が表に出てきます。無口な方が酔った時だけおしゃべりで明るい性格になるのはこれが原因なのです。
お酒を飲むと体内でアルコールはアセトアルデヒドという物質に変化します。アセトアルデヒドは人体にとって有害な物質で肝臓にまわされ分解されます。飲み過ぎると健康を損なう原因は有害物質を体内に取り入れているからなんですね。
アルコールにもカロリーがあり、1gあたりに7kcal含まれています。脂質のカロリーが1gあたり9kcalなのでけっして少ないとは言えません。しかしアルコールが体内で処理されるときにはカロリー燃焼が起こるので、そのすべてが体内に取り込まれるわけではないのです。とはいえやはりダイエット中などはお酒を飲むことは避けるべきでしょう。
お酒が筋トレ後に体に与える影響
筋トレを行なった後は基本的にお酒を飲むとマイナス効果になります。それはなぜでしょうか?筋トレで汗を流した後に飲み屋で乾杯する、それはまた格別に美味しいお酒になるのかもしれません。しかしそのお酒を飲むことが筋トレの成果を妨げる原因なのです。
実はお酒には栄養素の吸収を妨げる働きがあります。多くのトレーニーは筋トレ後の30分以内にプロテインを飲んでいると思います。しかしその後お酒を飲むとタンパク質をはじめとする栄養素の吸収が悪くなります。それはアルコールの分解に栄養素が回され、肝心の筋肉作りに栄養素が回されないためです。
ボディメイクでは筋肉を育てる必要がありますが、お酒を飲むと筋肉を作るタンパク質がアルコールの除去に使われるため、肝心の筋肥大に必要なタンパク質が不足してしまいます。せっかく頑張ったトレーニングが水の泡になる事はぜひ避けていきたいものですね。
またアルコールの有害物質アセトアルデヒドを除去する役割を肝臓が担うと言いましたが、タンパク質合成も肝臓で行われるためにお酒を飲むと肝臓をフル稼働させることになります。それだけ肝臓の機能がダウンしてしまいますので、効率的な筋肉作りの妨げになってしまうのです。
人は個人差がありますが、7時間くらいは最低でも空けないとお酒が体に残ります。10時間経てばほとんどの人がお酒が抜けると言われますので、もし最短で筋トレを始めたいなら肝臓を休ませる意味も込めて、最低10時間を目安に間隔を空けてから筋トレを再開しましょう。
筋肥大の味方である各種ホルモンのバランスが悪くなる
お酒を飲むことによって男性ホルモンの一種であるテストステロンも減少します。テストステロンが分泌されることによって筋肉が発達することを助けてくれるのですが、それが少なくなるという事は筋肉の発達もしづらくなるという事です。
さらにコルチゾンという筋肉を分解させるホルモン物質も生成されます。このコルチゾンはお酒を飲むことによって体内に現れるホルモンの一種で、筋肉を分解するのでボディメイクをする方にとっては非常に厄介な存在です。
男性ホルモンは女性にも少量ですが出ているもので、まったくゼロというものではありません。なので女性で筋トレする人にとっても効果が出ずらいという事になるのです。ちなみに女性ホルモンであるエストロゲンも、お酒を飲むことによって少なくなります。それによって生理不順が起きたり、肌の乱れが起きるなども考えられます。
男性にはそこまで肌の状態に関心が無い方も多いかもしれませんが、海やプールなど人前で服を脱いだときに、肌の調子が悪いと筋肉の見栄えが悪くなってしまいます。筋肉質でも吹き出ものだらけの体というのはキレイな印象は与えられませんしね。
これらが起きると筋トレの効果が落ちてしまいますが、少しでも筋トレの効果を逃がさない方法としてお酒を飲む際にたんぱく質が豊富な内容の食事を選ぶようにすることです。たくさんのたんぱく質を取ることにより、お酒が筋肉を分解する量を抑えてくれます。飲み会に出かける前に1杯のプロテインを飲んでいく、それだけでも十分な対策になるのです。
様々な病気の原因にもなってしまうアルコール摂取
お酒は楽しい気分にさせてくれついつい飲み過ぎてしまいがちなものです。しかし飲み過ぎを続けることでトレーニング効果の減少も起こります。アルコール処理には肝臓が使われるのですがお酒の飲み過ぎで肝機能の低下によりエネルギー物質であるATP(アデノシン三リン酸)の生成も減少して、翌日のトレーニングでパワーが発揮できなくなってしまうことが考えられます。
さらにアルコールは体脂肪になってしまうという習性があります。体内でアルコールは中性脂肪(トリグリセリド)に変換され、この中性脂肪は血液内に溶け込んで血管内を運ばれ脂肪の貯蔵庫に蓄えられます。男性は腹部にたまり、女性は腰回りに多くため込みますね。健康維持のために運動している人も、飲酒をするがために脂肪が増えていては勿体ない事ですね。
また度を越えた大量の飲酒は多くの生活習慣病の原因になり、糖尿病をはじめ肝硬変や高血圧症、骨粗鬆症(こつそそうしょう)なども引き起こします。いったん生活習慣病になると、厳しく塩分調整やバランスを整えた食事療法が必要になります。筋肉を作るよりよほどストイックな食事をとらなければいけなくなる事を覚えておきましょう。お酒によって骨がもろくなることや、血管を傷つけることで様々な病気の原因となり、トレーニングができなくなる可能性すらあるという事を30代以上の方は特に頭に置いておきましょう。
お酒の適量を理解する
お酒の各種はどのくらいまで飲むのが適量なのかを考えましょう。まずビールは500ml缶1本が体には悪影響が無いと言われます。ビールの中瓶が750mlですので、ビール党の方にとっては少なく思えるかもしれません。日本酒で言えば1合とっくり1本分の量が適量で、計量カップで量る場合は1合=180mlです。
焼酎はロックで100mlが適量と言えますので、水割りやお湯割りで飲む場合はこれよりも多く飲めます。余談ですが焼酎には糖質やプリン体が含まれないので、糖質制限中や痛風の治療に当たっている人には持ってこいのお酒と言えるでしょう。ただし酔うことによって食欲は確実に増えますので、極力飲まないに越したことが無いのは言うまでもありません。
ワインですと200mlまでが適量と言えます。ワインにはポリフェノールが多く含まれているために、体の抗酸化作用が期待でき高血圧や動脈硬化などを予防してくれる効果があります。適量というくくりで見ればワインはトップクラスに栄養価が高いお酒だと言えるでしょう。ちなみに白ワインよりも赤ワインの方がポリフェノールは多く含まれています。ですがポリフェノールは原料のぶどうに多く含まれますので、わざわざワインを大量に飲む必要はありません。
ここで気を付けなければいけない事は、お酒の適量というのは個人差があるという事です。これは誰でもわかる事と思いますが、お酒の弱い人は強い人に比べて先ほどの適量の基準値も低くなるのです。なので筋トレの効果を下げたくなければ、可能ならばお酒を飲まないという事が1番良いことですね。
また、お酒というものは酔い始めるとドンドンお代わりしてしまうものなので、適量で抑えることは案外難しいという事を覚えておいてください。酔えば食べ物もたくさん食べて太りやすくなりますので、ボディメイクに励んでいる場合は気を付けましょう。
ビール:500ml
日本酒:1合(180ml)
焼酎(ロック):100ml
ワイン:200ml
各年代別のお酒との付き合い方
20代:肉体年齢でピークの20代では、トレーニングして食べた分だけ筋肉になると言っても過言ではありません。お酒の量はある程度無視しても体は適応してくれます。ですが一気飲みなどで急性アルコール中毒になって病院に運ばれる方もいますので、くれぐれも無理のない飲み方をしましょう。そしてお酒を飲んだ後はどれだけ筋トレしたくてもしっかり休肝日を設けて、直後の筋トレは避けましょう。
30代:体が少しづつ衰えていく年代です。お腹まわりに脂肪が付き、体型が乱れてくる年代と言えます。この年代にお酒を飲み過ぎると脳への影響も出てきます。適量を意識する事と、まったく飲まない休肝日を設けることが大切だと言えるでしょう。お酒を調整しつつトレーニングすることで、格好いい体型をキープできます。もちろん筋トレをした日は休肝日にしてくださいね。
40代:この年代にお酒の過剰摂取をすると翌日のコンディションは確実に最悪でしょう。そのくらい体のリカバリー力が落ちているという事です。ですのでお酒を飲む日を減らし、1回の飲酒量も調整するように努力しましょう。どの年代でも共通なことですが、体型をキープするにはトレーニングは必須と言えます。
【お酒が体に与える影響のポイント】まとめ
□お酒は脳神経を麻痺させる。アルコールが体内に入るとアセトアルデヒドという毒性のものに分解され、肝臓で処理される。
□筋トレをした日に飲酒するとアルコール分解にたんぱく質が使われ、筋肉を作る効果が減少する。基本的に筋トレした日にはお酒を飲まない。
□筋トレするなら飲酒後10時間は経過させたい。
□お酒を飲むとホルモンのバランスが乱れ、筋肉が分解されやすく肌のトラブルにもなりやすい。お酒を飲む際はたんぱく質とビタミン類を多めに取ること。
□お酒のカロリーは1gあたりに7kcal含まれる。アルコールは体脂肪になる性質があり、度を超えた飲酒は生活習慣病を引き起こす原因になる。
□お酒は各種適量というものがあるので、その量を目安に美味しくいただく。ただし個人差がある事も理解する。
□年代ごとにお酒の飲み方には気をつけること。いつまでも若い時の飲み方をすることは生活習慣病に繋がる原因になる。
お酒を飲むことはすごく楽しいことですし、まったく生活の一部から排除するというのもストレスになってしまうことでしょう。なので普段はトレーニングをしてお酒を減らし、食事のバランスを取るという生活習慣を大切にしましょう。そして週に1日だけお酒を楽しむ日を作るといいと思います。その際は筋トレを休みにすることもお忘れなく。筋トレとお酒を両方楽しめる生活を送っていきたいものですね。